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人生の高齢期を考える 『エンディングノート』とは

2012年10月1日 月曜日

永い人生のラストステージを生きる

今年の三月から「エンディング講座」を、水巻・直方・西南・ぬくもり事業所の各支部運営委員会で、延べ七回開催しました。どの会場も三〇人以上の参加があり、とても好評でした。

 従来の六〇歳までの人生設計という考え方は、就職・結婚・子育て・定年、そして老後という括りです。しかし近年、平均寿命が延び「老後」の意味が変化してきています。人生の四分の一あるいは三分の一の長い時間を、還暦後も生きるのです。つまり、高齢期という新たなステージをどう乗り越えていくのかという課題が出てきたのです。

「もしや」や「いざという時」に備えて

 盆栽いじりや孫の世話をして、というには長すぎる余命。

 永い高齢期をできるかぎり自立した生活者として元気に生きていきたい。せっかく子育てや仕事から開放され、自由になったのだから

積極的に自分の時間を使いたい。限りある時間を自分らしく生きていこう。でも、病気にもなるだろう。介護が必要になるかもしれない。また、死が確実に近づいてきている厳然たる事実にも目をそらさずにいたい。その時になっても、私らしく、そして家族が迷い困らないように自分の意志をきちんと伝えておきたい…このように考える人が増えてきました。そうした時代の思潮から「エンディングノート」と呼ばれるものが登場しました。

 エンディングノートとは、もしも病気になったとき、認知症になったとき、医療や介護はこうしてもらいたい。死がおとずれたときも、葬儀はこのように、お墓については等と、元気のうちに書きおいて意志表示をしておくものなのです。

 書き込みやすいように編集した一〇種類くらいのものが本屋で市販されています。無料で配布している葬儀社も多くなりました。

書きたいところから始めてみる

 内容は「家族への言葉」「癌の告知や延命治療・尊厳死の選択」「認知症になったとき」「葬儀・お墓への希望」「遺品や相続について」が中心になっています。

 筆者の場合、がんの告知は、気が小さいからしないでほしい。元のような生活ができないくらいの重い障害が残るなら延命治療は断ってほしいなどと書きました。認知症になったら、ふくし生協の宅老所に喜んでお世話になりたい(きっとわがままで困らせるでしょうが…)、そこで看取りも弔いもお願いし、職員の皆さんと家族だけで送ってほしい。お墓はふくし生協の共同公園墓地を予約しています……などなど。

 しかし、死はいつやってくるかわかりません。ふくし生協在職中だったら、嘉飯事業所主催のふくし生協葬というのもお願いできるでしょうか。臨終の時には、励ましや呼びかけよりも私の好きな詩や小説の一節を耳元で読んで静かに眠らせてほしいなどと思いつくままに書き込んでいます。

 今はまだ現役で元気で働いていますから「死」に対して現実感が希薄です。さらに年を重ねていけば、内容も当然変わっていくはずです。毎年、誕生日などに定期修正をしていけばよいと思います。

心残りを少なくして日々を楽しく生きる

 書き置く作業を通して、自分自身への振り返りができたり、日頃忘れていることが蘇ったりして、自分の歩いてきた道程が愛しく感じられてきます。同時に、一日一日を大切に生きていこうという前向きな気持ちにもなります。いざというときの準備を整えておくことで、それこそ安心して人生のラストステージを楽しむことができるということではないでしょうか。

 皆様、どうでしょう。自分の「エンディングノート」を書いてみませんか。

        理事 吉野 道利